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  • 『学生 島耕作~就活編~』特別企画! 島耕作、人事部長にぶっちゃけ色々聞いてみた

就活生はもちろん、働くすべての人にとってためになるメッセージを届けたい――そんな思いから、 さまざまな企業の人事部長に、会社にとって最大の宝である「人材」について色々な角度から質問をぶつけてみよう! という本企画。 自身の就活を終え、暇を持て余している島耕作の力を借り、普段は聞けない禁断の質問も含め、人事の内側を深掘りしてきました!

No. 1/3

「どこにいっても一つ屋根の下、
同じ会社なんだ」
ということ

 今日はお忙しい中お時間をいただきありがとうございます! 早稲田大学第一法学部4年、島耕作です。よろしくお願いします。

 こちらこそよろしくお願いします。「就活編」も最新話まで読んでます。

 ありがとうございます。小口さんは僕と同じ早稲田大学ご出身なんですよね? 今日はOB訪問のつもりで来ました。

 僕は第一文学部(現在の文学部・文化構想学部)出身です。正しくは僕の方が後輩ですけどね(笑)。

 確かに……! では先輩の気軽さで、普段聞けないことまで踏み込んでいろいろお話伺わせていただきます。

小口部長も通った早稲田大学講堂をバックに。僕は1966〜1970年をここで過ごす。

第1章 求められる資質はさまざま。
だからいろんな角度に向かって光っている人材が欲しい

 さっそくですが、講談社はどういう目線で採用を行っているんですか?

 うちは志望分野別で採用を行っているので、基本的には「志望分野で活躍できそうか」という目で判断しています。だけどもう一つの目もあって、「どこを志望しているかは別にして、どんな部署に行ってもそれなりにやれそうか」という判断基準もあります。とにかくいろんな部署があるので、適応力が高い人は、どこの部署で働くか以前に欲しい人材ですよね。

 なるほど。確かに出版社は営業や編集、校閲で、仕事の内容が全然違いますよね。

 そうなんです。会社の中に小さなカンパニーがいくつもあるような感じで、同じ編集部署でもファッション誌と文芸誌では転職に近いくらい仕事内容が違いますし、求められる資質も違う。だからメーカーや銀行、商社などに比べて「こういう人材が欲しい」と一言で言いづらいんです。採用活動に悩みは尽きません。でも、同時にそれがうちの会社の特徴なので、いろんな種類の人材、いろんな角度に向かって光っている人材が欲しいなと思っています。

入社した人は皆希望通りの部署に配属されるものなんですか?

 なるべく希望に沿いたいとは思っていますが、希望とは違う部署に配属される人も出ます。かくいう僕もそうでした。僕は編集志望で入社したんですが、最初の配属は望み叶わず書籍販売部(営業職)でした。だから今、辞令を伝える立場になって入社当時のことをよく思い出します。
 希望に沿えない配属・異動になった人には、なるべく当時の気持ちを思い出して言葉をかけるようにしています。必ず伝えるのは「どこにいっても一つ屋根の下、同じ会社なんだ」ということ。これは自分が入社当時の人事部長に言われたことなんですが、今の立場になって沁みるようにわかってきた言葉です。僕も当時は「編集と営業じゃ全然違う! 詐欺じゃないか!」って思っていました。当時の総合部門採用は編集も営業も含みますから、別に詐欺でもなんでもないんですけどね(笑)。だから今は、どっちの気持ちもよくわかります。

第2章 こだわりが強い人より、
いい意味で節操がなくいろんなことを面白がれる人は強い

 僕は「初芝電産」で宣伝部を希望しているのですが、人気の部署と聞いているので配属されるか不安もあります。小口さんは希望しない部署に配属や異動になったとき、どうやって気持ちを切り替えましたか?

 僕は元々ものすごい楽天家なんです。あと、あんまり節操がない。「置かれた場所で咲きなさい」じゃないけれど、置かれた場所で咲くのが会社員なんじゃないの、と思います。
 どういう人材が欲しいかという話にもつながるんですが、いい意味で節操がなかったり、あれもこれも興味を持てたり、せっかくだから「いいチャンスだ」と思えることは大切です。あまりにこだわりが強くて「あれはいいけど、これは嫌だ」「あそこは好きだけど、ここだけは許せない」って言う人いるでしょう。僕はあんまりそういう考えは尊重しません。もちろん趣味の世界とかではいいと思うんですが、少なくとも仕事の世界では通用しないと思うんです。
 僕の場合入社3年して念願叶って週刊現代編集部に異動になり、それから約20年編集の現場にいました。それが2008年に突然人事部に異動になったんです。まさに青天の霹靂で、最初は相当戸惑いました。楽天家な僕ですら丸2日間ぐらい会社に行く気がしなくて、池袋あたりをふらふらして頭を冷やそうとして歩き回っちゃうぐらい動揺があったんですよ(笑)。でも、ふと思ったんです。「この機会にビジネスマンになっちゃおう!」って。編集時代はネクタイもしてなかったし、かっちりした生活をしてこなかった。だったら人事部でビジネスマンとして一回勝負してみようか、なんて思ってみちゃって。

 まさにポジティブシンキングですね!

 嫌なことはいくらでも思い浮かぶんだけど、フィールドが変わるっていうことは新しい魅力があるはずじゃないですか。人事部は全社員のことを把握しなくちゃいけないけど、それって今まで知らなかった社員と話したりする機会もあるということです。面白いことがいくつもあるに違いないし、そこでやるべきことはあるはずだって。まあ僕はそんな風に考えたんですが、どんな逆境に立っても「そこでやれることがある」って考えて、それをしっかりやろうというマインドになれる人はいいなと思うんですよね。

第3章 自分と関係がないことにも
手を抜かずに取り組める人はリーダーシップがある

 小口さんから見て、僕はどういう「人材」でしょうか!?

 やっぱりタフネスと前向きさをすごく感じます! どんな状況でもくじけないっていうのは島さんの基本ですよね。あらゆることに対してモチベーションが高い。

 ありがとうございます。

 誰だって好きなことに対してはモチベーションが高いですが、どんな状況でもそうであることは難しいです。例えば会社で左遷されたとして、上司の悪口を言って飲んだくれちゃう人もいるわけです。誰かのせいにしたままにして、自分では動かない人。そういうのが一番ダメですよね。

僕を「タフネス」と評する小口部長。編集者時代は、繊細さにかける編集長たちのムチャぶりを、とんでもない突破力で実現させたこともあるとか。

 会社っていうのは意外と社員のことをよく見ているものです。もちろん完璧ではありませんが、常に視界には入っていて、「ああ、投げやりになっちゃってるな」とか「今は芽が出ていないけど一生懸命取り組んでいるな」とか、会社はちゃんと見ています。前向きにきちきちっと目の前にあることをこなしている人には、会社はちゃんとチャンスを与えてくれるものです。
 よく人事の世界では「リーダーシップ」という言葉を使うんですが、これは管理者とかリーダーに対してだけではなくて、社員全員に対して意識しています。些末なことに対しても手を抜かずに取り組む人は、リーダーシップがある人です。例えば飲み会で食べ物が余っているときに「これどうする?」と声をかけられる人。普通なら「自分のことじゃないし別にいいや」と思うことにも目を向けられる人は強いですよね。会社にとっても貴重な人材だし、どこに行ってもきちっとやれる人ですよね。